捕まると3年以内に死ぬ?両山寺・護法祭を体験して

〜750年続く神秘の奇祭〜

「捕まった人は3年以内に死ぬ」──そんな衝撃的な言い伝えのあるお祭りが岡山にあるのをご存じでしょうか。
その名は、両山寺の護法祭(ごほうさい)。真言密教と修験道が融合した、全国でも珍しい奇祭です。

加門七海先生の『呪術講座 入門編』を読んで初めてその存在を知った私は、今年ついに足を運んできました。
しかも今年は750周年という節目の年。これはもう行くしかない!
だって……神様をこの目で見られるかもしれないし!!( ˶ˊᵕˋ˶)✨

お盆の夜、岡山へ

護法祭が行われるのは、毎年8月14日。お盆ど真ん中です。
普段なら奈良の実家で過ごしていますが、今年は子どもたちを先に預けて、主人とふたりで岡山へ。

当日のスケジュールはこんな感じでした。

  • 21時 壱番貝
  • 22時 弐番貝
  • 23時 参番貝
  • 24時 御向神(護法神社へ)
  • そしてクライマックスの「護法楽(お遊び)」
壱番貝が吹かれている様子です

13時からは、のみ入れ式(ご神体の儀式)もあったのですが、私は残念ながら間に合わず……( ߹꒳߹ )
それでも、21時にはドキドキしながら待機していました。

一方の旦那は緊張した様子もなく、屋台の地元B級グルメを楽しんでいました。笑

他にも屋台がいくつか出ていて、「お祭り!」って感じでした。

ゴー様ってどんな存在?

初めての参加だったので、地元の方にいろいろ教えていただきました。
護法実(ごほうざね)は一週間前から神域である山にこもり、2時間おきに水をかぶって身を清めるそうです。
食事は精進料理。外部との連絡は一切なし。極限状態の中では「葉っぱが生き物に見える」こともあるとか……。

その修行を経て、当日カラスの霊を憑けた護法実が「ゴー様」となります。
温厚で真面目な人柄であること、信心と義務感を持って行動できる人であること──そうでなければ務まらない役目なのだそうです。

ゴー様との遭遇

いよいよ、ゴー様をお迎えに行きます。お経や太鼓を賑やかにならしながら、ゴー様が籠られている神域へ。
しばらくすると……お迎えと一緒にゴー様が戻られました。
両脇を抱えられてふらふらしておられます。
「そりゃ1週間も厳しい修行を受けていたらそうなるよね…」と思いつつ見守っていると
あれ……あれれ? そのまま私の立っている方へ一直線に近づいてきて……

バタバタバタッ!

「えっ、もう捕まる儀式が始まってる!?」と心臓がバクバク。
……実際には違ったのですが、初参加の私は本気で焦り、そして逃げました。笑

神様をおろす儀式、そして「お遊び」

その後、本堂では神様をおろす儀式が行われます。
お経のような声と激しい太鼓の音。ぐるぐると人が回る姿が外から見えて、なんとも不思議な光景でした。

真っ暗ななか、本堂の明かりに、ぐるぐる回る人影がうつっていました。

やがて大きな松明に火が点けられ、境内の電気がすべて消えます。
真っ暗闇の中に残るのは、赤々と燃える松明の炎だけ。

その合図を待っていたかのように──
ゴー様の「お遊び」が始まります。

闇夜を駆けるゴー様

護法祭は撮影OKですが、フラッシュは禁止。……なのに設定ミスなのか、フラッシュをたいてしまった人がいて、マイクでかなり強めに注意されていました。

あれはゾッとしました。(捕まるのでは…と思い)

さっきまでふらふらだったゴー様が、嘘のように勢いよく境内を走り回ります。
燃え盛る火を軽々と飛び越える姿はまさに人ならざる迫力。
「本当に鳥の神様が憑いているんだ」と息を呑みました。

近くで見たい気持ちはあるものの、捕まるのは怖いので私は会場の端っこからそっと観覧。

印象的だったのは、地元の子どもたちが「ギャーテ!ギャーテ!」と叫びながらゴー様のあとを追いかけていたこと。
一緒に火を飛び越える姿に、同じ年くらいの子をもつ母としては「危ないよ〜!火傷しちゃうよ〜!」とハラハラしっぱなしでした。

そして、ゴー様が近づくたびにビビリながら逃げる私と旦那……笑
もちろん、周りの地元の方も「わあ!」って感じで逃げています。
拍手で迎えつつも、近くにきたら逃げる……おもしろい光景でした。

「捕まる」とはどういうこと?

今年は捕まった人はいませんでした。
「去年はいたのかな?」と地元の方に聞いてみると、

「ここ数年は悪いことする人がいないから捕まらないね~」

との答え。
「悪いことをする人?」と首をかしげると、

「昔はね、ゴー様に悪戯をする悪い奴がいたんだよ。頭の飾りを取って逃げたり、邪魔したりね。そんな人は捕まってたよ」

なるほど、そういうことだったのか!と納得しました。

さらにその方は、こうも教えてくれました。

「でも捕まった人は本当に3年以内に亡くなってるよ。車の事故とかね、挟まれたりね」

……ゾゾゾッ((( ºωº ;)))

体験して感じたこと

最初は「捕まると3年以内に死ぬ」という怖い噂ばかりが頭にありました。
でも実際に参加してみて感じたのは──これはゴー様が人間界を自由にお遊びされるお祭りだということ、
そして、そのお遊びを邪魔しなければ、誰も捕まらないということです。

本当はもっと神聖で、人々が畏れ敬いながら大切に受け継いできた行事なんだと分かりました。

両山寺の公式サイトにも、こう書かれています。

「護法善神より託宣を得て、天下泰平・風雨順時、五穀豊穣・万民豊楽を願い、毎年8月14日深夜より15日未明にかけて、憑代となる護法実に護法善神を祈りお迎えし、境内をお遊びになる祭式です。」

750年という節目の年に立ち会えたこと、本当に良かったです。
二上護法祭保存会のみなさま、ありがとうございました。
またご縁があれば、ぜひ足を運ばせていただきたいお祭りです(ºヮº)ノシ✨

おまけ

実は去年、護法祭のクラウドファンディングに支援していたので、本堂前の大きな看板に私の名前も載せていただいていました。
境内で自分の名前を見つけて嬉しかったぁ……( ˶ˊᵕˋ˶ )✨

さらに、750周年の記念として特別な護法祭キューピーちゃんもいただきました。
ちょっとレアで、しかもめちゃくちゃ可愛い!記念になって本当に嬉しかったです。

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